結論:もっと早く買えばよかった
フックリムーバーなんて「フックが外せればどれも同じ」だと思っていました。
実際、私が長いこと使っていたのは、釣具屋で買った安価な黒いフックリムーバーです。フックを引っ掛けて押し出す、シンプルな構造のやつですね。それでも一応フックは外せるので、「これで十分」と何年も使い続けていました。
その考えが変わったのが、スタジオオーシャンマークの HOOK REMOVER HR230S を使ってからです。

先に結論を書いてしまうと、これはフックを外す道具ではなく、指を守る道具でした。特にサワラのような歯物を狙うライトジギングでは、これがあるかないかで船上の安心感がまるで違います。
1万円超えという値段に何度もカートの前で固まりましたが、買ってからは「なんでもっと早く買わなかったんだろう」というのが正直な感想です。
この記事では、安価品からの買い替えという視点で、HR230Sの何がそんなに違うのかを、タイラバとライトジギングでの実釣を踏まえてまとめます。
安価なフックリムーバーで感じていた3つの不満
まず、買い替えの動機になった不満から整理しておきます。

不満①:短くて口の奥まで届かない
一番のストレスがこれでした。手持ちの安価品は有効長がだいたい10cm前後。マダイやサワラがジグやタイラバを深く飲み込んだとき、先端が奥まで届かず、結局手を突っ込むことになります。
魚の口の中は、上顎も下顎も歯だらけです。そこに手を入れるという行為自体が、そもそも間違っていました。
不満②:フックが固定されないので、外す作業が「賭け」になる
安価品はフックを引っ掛けるだけの構造で、押している最中にフックが溝から外れます。外れた瞬間、フックが暴れる。魚が暴れる。テンションが抜けてフックが飛ぶ。これが一番危ない瞬間です。
「うまく外れてくれ」と祈りながら押す、という作業になっていました。
不満③:力を入れると本体がしなる
深く刺さったフックを外そうとして力を入れると、パイプがたわみます。たわむと先端の狙いがズレて、また掛け直し。魚は弱っていくし、こちらは焦る。良いことがありません。
要するに安価品は「浅く掛かった小さいフックを、落ち着いた状況で外す」用途には十分ですが、歯物・深飲み・時合い中の慌ただしい船上という条件が重なると、途端に頼りなくなるわけです。
スタジオオーシャンマーク HR230Sとは
スタジオオーシャンマーク(STUDIO OCEAN MARK)は、リールハンドルやノブなどのアルミ削り出しパーツで知られる国内メーカーです。フックリムーバーというカテゴリーそのものを広めた草分け的存在でもあります。
そのラインナップの中で、HR230Sはライトジギング・SLJ・タチウオジギングあたりを主戦場に想定したモデルです。

HR230Sの主なスペック
| 項目 | HR230S |
|---|---|
| 全長 | 320mm |
| リーチ長(有効長) | 230mm |
| 自重 | 100g |
| 機構 | HOLD |
| 適合トレブルフック | #10〜1/0 |
| 適合シングルフック | #1〜1/0 |
| メーカー希望本体価格 | 12,800円(税別) |
実売価格は税込でおおむね1万3千円〜1万4千円前後。フックリムーバーとしては、明確に高級品の部類です。

ちなみに私の個体は LIMITED EDITION の DG/G(ダークグリーン/ゴールド)。ダークグリーンのボディにゴールドのアクセントが入った限定カラーで、正直これは完全に見た目で選びました。道具の所有欲を満たしてくれるのも、このメーカーの魅力だと思います。
「HOLD機構」=握るだけでフックが溝にハマる
HR230Sの心臓部が、この HOLD機構 です。
構造としては、先端に固定された鉤(フックを引っ掛ける部分)があり、その外側をステンレス製のフックカバーがスライドします。グリップのトリガーを引くと、このカバーが前進して、鉤に掛けたフックを溝ごと挟み込んで固定するという仕組みです。

言葉にすると地味ですが、実際に使うと感動があります。
写真で見るとわかりやすい
タイラバのアシストフックを使って、「掛けた状態」を並べてみました。まずはHR230Sから。

この状態で振っても、フックはビクとも動きません。完全に一体化しています。

同じフック、同じ道具でも、この差が「HOLD」です。握るか握らないかだけで、ここまで変わります。
では、安価品はどうか。


固定されないので、少し角度が変わるだけでポロッと落ちてしまいます。魚が暴れている状況でこの状態を維持するのは、正直かなり厳しい。
安価品は「引っ掛けて押す」。HR230Sは「引っ掛けて、握って、固定してから捻る」。この「固定」というワンステップが挟まるだけで、作業の性質がまるっきり変わります。
固定されているので、フックが溝から逃げません。逃げないから、押す・引く・捻るという操作をこちらの意図どおりに伝えられる。実際、しっかりハマった状態からなら、少しひねるだけでいとも簡単にフックが外れます。ゴリ押しする必要がまったくない。

実釣インプレ①:タイラバ編
まずタイラバでの使用感から。
タイラバはネクタイに小さめのアシストフックが2本という構成なので、フック自体は小さく、掛かりも比較的浅いことが多い釣りです。正直、ここだけならHR230Sはオーバースペックにも思えました。
ただ、実際に使ってみると効いてくるのがリーチの230mmです。
マダイが本気で食ってくると、フックがかなり奥に入ります。そうなると安価品では手が口の中に入りかけるのですが、HR230Sなら手を魚体から離したまま、口の外から先端だけを送り込めます。マダイの歯は歯板状で、ハタ類のようなカミソリではないものの、それでも擦れば痛いですし、なによりリリース前提の小型を素早く逃がせるのがいい。
もうひとつ、タイラバはフックが小さいぶん、安価品だと溝からポロポロ外れて何度も掛け直していました。HR230SはHOLDで固定できるので一発。手返しが目に見えて上がります。ドテラで流している最中の1分は貴重なので、これは地味に効きました。
適合はトレブル#10〜1/0、シングル#1〜1/0なので、一般的なタイラバのアシストフックはしっかりカバー範囲内です。
実釣インプレ②:ライトジギング編 ─ サワラの歯が怖くなくなった
そして本題。HR230Sが本当にありがたかったのは、サワラでした。
サワラを釣ったことがある方ならわかると思いますが、あの歯は本気で危ないです。カミソリという表現がそのまま当てはまる鋭さで、触れただけでスッと切れます。しかもジグに食ってくるときはフックが口の奥まで入りがちで、外そうとして手を近づける距離がどうしても短くなる。
安価品を使っていた頃は、正直サワラが上がってくるたびに身構えていました。フックを押している最中に外れる → 魚が暴れる → 歯が近い、という流れが一番怖いんです。
HR230Sは、この一連の不安をきれいに解消してくれました。
- リーチ230mmで、口の外から奥のフックまで届く。手を近づけずに済む
- HOLDでフックが完全に固定されるので、作業中にフックが暴れない
- 固定してから軽く捻るだけで外れるので、作業時間が短い
作業が短く済むということは、魚が暴れるチャンスを与えないということでもあります。船上でサワラが跳ねる前に外して、そのままクーラーに落とせる。この安心感は、値段の話を忘れさせるだけの価値がありました。
ライトジギングだとタチウオも同じ理屈で、歯物全般にこのモデルは強いと感じます。HR230Sが「Light Game」向けと位置づけられている理由が、使ってみてよくわかりました。
安価品との比較
手持ちの安価品とHR230Sを並べて、違いを整理するとこうなります。

| 比較項目 | 安価なフックリムーバー | HR230S |
|---|---|---|
| 有効長 | 10cm前後 | 230mm |
| フックの固定 | なし(引っ掛けるだけ) | HOLD機構でカバーが挟んで固定 |
| 外す動作 | 押し出す(外れやすい) | 固定して捻る(一発) |
| 剛性 | 力を入れるとしなる | しならない |
| 先端形状 | 小さく細い鉤 | 太く大きい鉤+ステンレスカバー |
| 歯物への安心感 | 手が近づくので怖い | 手を離したまま作業できる |
| 価格 | 数百円〜千円台 | 税込1万3千円〜1万4千円前後 |
価格差は10倍以上。ただ、これを「フックを外す道具」ではなく「指をケガしない保険」だと考えると、見え方が変わります。一度サワラの歯で手を切って釣行が終わることを思えば、決して高くはないというのが、使ってみたあとの実感です。
なお、安価品が完全に不要になったかというとそうでもなくて、淡水の小物やファミリーフィッシング用としては今も現役です。用途が違う道具だった、という整理が正しいのだと思います。
HR230Sで合ってる?ラインナップの選び方
スタジオオーシャンマークのフックリムーバーは、リーチ長でモデルが分かれています。主なものを並べるとこんな感じです。
| モデル | 全長 | リーチ長 | 自重 | 想定シーン |
|---|---|---|---|---|
| HR165S | 255mm | 165mm | 70g | シーバスプラグ、ライトな釣り全般 |
| HR230S | 320mm | 230mm | 100g | SLJ・ライトジギング・タチウオ |
| HR250M | 355mm | 250mm | 155g | より大型・重量級のフック |
このほかにHR130S、HR260Lなどもラインナップされています(各モデルの詳細スペックはメーカー公式でご確認ください)。
選び方の目安としては、こう考えるとわかりやすいと思います。
HR165Sが向いている人
シーバスやライトソルトがメインの方。全長255mm・自重70gと取り回しが良く、シーバスプラグのトレブルフックにフォーカスした先端形状になっています。価格もHR230Sより抑えられているので、「まずは一本」という入り口としても現実的です。
HR230Sが向いている人
オフショアでライトジギング・SLJ・タイラバ・タチウオをやる方。私のように歯物に当たる可能性がある釣りをするなら、230mmのリーチはそのまま安全マージンになります。
HR250Mが向いている人
より大型の魚や重量級のフックを扱う方。ただし自重155gと重くなるので、ライトな釣りにはややオーバースペックです。
迷ったら、自分が一番怖いと思っている魚の口の深さを基準に選ぶのがいいと思います。私の場合はサワラでした。
気になる点・注意点
べた褒めばかりでも記事として不誠実なので、気になった点も書いておきます。
価格は素直に高い
税込1万3千円〜1万4千円前後。フックリムーバーにこの金額を出すのは、やはり勇気がいります。安価品でも「一応外せる」のは事実なので、釣行頻度が低い方や、歯物をやらない方にとっては過剰投資になる可能性はあります。
自重100gは軽くはない
アルミとステンレスの構造なので、それなりに重さがあります。ずっと手に持つ道具ではないので実釣で困ることはありませんでしたが、ベストのポケットに入れると存在感はあります。カールコードは必須です。海に落としたら1万数千円がそのまま沈むので、ここはケチらないほうがいいと思います。
「便利だから安全」ではない
これは自戒も込めて。メーカーも注意喚起していますが、フックを外す行為そのものが危険を伴います。HR230Sを使う際も、トリガーをしっかり引いてフックが本体に固定されたことを確認してから、押す・引く・捻るの操作に移ること。道具を過信して雑になると、結局ケガをします。便利になったぶん、動作を丁寧にすることを意識しています。
あわせて用意したい:歯物対策セット
フックリムーバーの話をしてきましたが、歯物を安全に扱うという意味では、これ単体で完結するわけではありません。私が船に持ち込んでいる組み合わせも書いておきます。
まずフィッシュグリップ。サワラやタチウオを素手で押さえるのは論外なので、魚体を固定する道具は必須です。グリップで顎を挟んで動きを止め、そこにHR230Sを送り込む。この二段構えにすると、手を魚の口に近づける必要が完全になくなります。
逆に言うと、フックリムーバーだけあってもグリップがないと片手で魚を押さえることになり、結局危ない。私は最初これで失敗しました。セットで揃えて初めて意味がある道具だと思っています。
プライヤーも一本あると安心です。フックが完全に伸びてしまった、リングごと交換したい、といった場面ではリムーバーよりプライヤーの出番になります。役割が違うので、どちらかがあればいいというものではありません。
まとめ
スタジオオーシャンマーク HOOK REMOVER HR230S を、安価なフックリムーバーから買い替えて使ってみた感想をまとめます。
良かったところ
- リーチ230mmで、魚の口に手を近づけずに作業できる
- HOLD機構でフックが完全に固定されるので、少し捻るだけで外れる
- 剛性が高く、力を入れてもしならない
- サワラのような歯物での安心感が段違い
- タイラバの小さいアシストフックでも一発で決まり、手返しが上がる
気になるところ
- 価格が高い(税込1万3千円〜1万4千円前後)
- 自重100gで、ベストに入れると存在感がある
- 便利さに慣れて雑にならないよう注意が必要
「フックリムーバーなんてどれも同じ」と思っている方こそ、一度いいものを触ってみてほしいです。私も完全にその側の人間でしたが、HOLD機構でフックがカチッと固定される感触を味わってしまうと、もう安価品には戻れませんでした。
特にサワラやタチウオを狙う方には、安全装備として真面目におすすめできる一本です。指は消耗品ではないので。


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