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リールのベアリング追加は本当に必要か?海水で失敗して気づいたこと【レベルワインダー・ハンドルノブ】

リール

「リールはベアリングを追加すればするほど良い」——淡水メインで釣りをしていた頃は、正直そう信じていました。

でも海水でタイラバや巻物をやるようになってから、その考えは大きく変わりました。結論から言うと、ベアリング追加が効くかどうかは「どこに」「何を」追加するかで全く変わる、というのが今の実感です。

この記事では、自分が海水で失敗した経験と、メーカーの設計仕様を調べてわかったことをまとめてみます。

ゴールドカラーの丸型ベイトリール

淡水時代に信じていた「ベアリング追加=正義」

バス釣りなど淡水中心だった頃は、リールのベアリング追加はほぼ迷わずやっていました。転がりが滑らかになって巻き心地が良くなる、それだけで満足度が上がるカスタムだったからです。

水も真水なので、サビの心配もほとんどありませんでした。カラー(樹脂や金属の単純な軸受)が入っている場所を見つけたら、とりあえずベアリングに置き換える。それが当たり前だと思っていました。

海水で使い始めて気づいた誤算

ところがタイラバや沖のジギングなど海水メインの釣りが増えてくると、話は別です。

海水は真水と違って金属パーツを一気に劣化させます。せっかく追加したベアリングが、メンテを怠るとあっという間に固着したり、動きが渋くなったりする。淡水感覚のままカスタムしていると痛い目を見る、と実感しました。

一番追加しやすいけど、一番注意が必要なレベルワインダー両端

その代表がレベルワインダー(ラインを均等に巻くために左右に往復するパーツ)の両端です。ここは多くのリールで、実はベアリングではなくカラー(単純な軸受)が使われています。

理由は構造上、海水がとにかく浸入しやすく、しかも分解清掃がしにくい箇所だからです。ここに社外ベアリングを組み込むと、メンテを頻繁にしない限りすぐにサビてしまいます。実際、自分もここにベアリングを入れてサビに悩まされた経験があります。

つまりメーカーがあえてカラー仕様にしているのは、コストダウンではなく海水トラブルを避けるための設計判断ではないか——そう考えるようになりました。

サイドプレートを外してギアとレベルワインダーが見えているベイトリール

シマノの仕様変更が物語るもの

面白いのは、この「レベルワインダー両端」の標準仕様が、メーカーや機種によって、さらには同じシリーズの世代によっても変わっているということです。

シマノのオシアコンクエスト系の流れを追ってみます。

18オシアコンクエストCT/19オシアコンクエストリミテッド

どちらもスプールとレベルワインドが連動する構造を搭載した機種で、ウォームシャフト(レベルワインダー軸)両端はベアリング仕様でした。

22オシアコンクエスト(スタンダード)

レベルワインド連動機能は引き継がれたにもかかわらず、ウォームシャフト両端はブッシュ仕様に変更されています。

この変更、単なるコストダウンとは考えにくい理由があります。

なぜブッシュに変わったのか——修理記録から見える背景

18CT・19リミテッドのオーバーホール記録を追っていくと、この箇所のトラブルが本当に多いことがわかります。

  • 18CT 200HG:クラッチが切れない症状の修理で、レベルワインド左右のベアリング交換が必要になった例
  • 18CT 200PG:きちんと水洗いメンテをしているオーナーの個体でも、レベルワインド周りの右側ウォームシャフトのベアリングだけは完全にザラついていた例
  • 19リミテッド400HG:ウォームシャフト両側のベアリングが固着していた例

さらに、18CTを扱った修理ブログでは「レベルワインドがスプール連動タイプだと分解に手間がかかる」「CT系はメンテナンス性の悪さが欠点」とも指摘されています。連動式にした結果この部分の分解ハードルが上がり、それがメンテ不足→サビ→固着という悪循環を生んでいたわけです。

そして22でブッシュ化された件について、あるリールメンテナンス専門業者はこう書いています。

ソルト仕様でこの箇所をベアリング追加カスタムというのはお勧めできない。回転はあまり変わらないし、トラブルの原因を増やすだけ

絶対に錆による不動トラブルがシマノアフターサービスで多すぎたのだと私は考察しております

あくまでシマノが公式にアナウンスしているわけではないので推測の域は出ませんが、18CT・19リミテッドでベアリング化 → サビ・固着トラブルが多発 → 22でブッシュに戻した、という流れは十分に考えられます。

つまり22オシアコンクエストのブッシュ仕様は、性能を落としたのではなく、実釣現場でのトラブルを踏まえた実用的な設計判断という見方ができるわけです。

ちなみにダイワは逆の判断

一方、ダイワの21/22ソルティガICは、ウォームシャフト両端が標準でベアリング仕様です。オーバーホール記録を見ても「ウォームシャフト両端のベアリングも錆びていたので交換」という記述が複数見つかります。

同じメンテナンス業者は「レベルワインダー同期機種ですと、ベアリングが良い」ともコメントしていて、メーカーによって判断が分かれているのが実情のようです。

整理するとこうなります。

機種ウォームシャフト両端
18オシアコンクエストCTベアリング
19オシアコンクエストリミテッドベアリング
22オシアコンクエストブッシュ
21/22ソルティガICベアリング

要は、「全部ベアリング化すればいい」という単純な話ではないということ。特に22オシコンのようにメーカーが意図的にブッシュを選んでいる機種で、わざわざベアリングに戻すカスタムは、メーカーが避けたトラブルをわざわざ呼び戻す行為になりかねません。

レベルワインダーは「高性能ブッシュ」という選択肢もある

とはいえ、ブッシュ仕様の機種をまったくいじれないのも味気ない。そんな人には、ベアリングではなくブッシュそのものを高性能化するという選択肢もあります。

その代表格がゴールドワークスの「匠ブッシュ」シリーズです。真鍮の無垢材から削り出した一体構造で、ベアリングよりパーツ数が少ない分、高い静音性と防錆性を持たせているのが特徴。内部のスリット加工で摩擦を減らしつつオイルの保持性を高め、さらに4層コーティングで自己潤滑性も持たせているそうです。

価格はベアリングと同程度(モデルによって3,000円台〜)ですが、メンテナンス頻度が減って長く使えるなら、トータルではむしろお得という考え方もできます。

ただし内径が超精密なクリアランスで設計されているため、リールの精度が出ていない状態や過度な負荷がかかる用途だとスプールやシャフトを傷める可能性があると明記されています。装着は自己責任・慎重に、という点は押さえておきたいところです。

例外:キャスト時にレベルワインダーが動くリールは話が別

ここまで「レベルワインダー両端のベアリング化は避けたほうがいい」と書いてきましたが、例外もあります。

キャスト中もレベルワインダーが連動して動くタイプのリールです。代表格がアブガルシアのアンバサダー2500C。このタイプは、ルアーを投げている間もラインの放出に合わせてレベルワインダーが左右に走ります。

つまりウォームシャフト周りの抵抗が、そのままキャストの飛距離に効いてくるということ。巻き心地の変化はわかりにくくても、キャスト時の抵抗低減という点ではベアリング化のメリットが素直に出る構造です。

一方、最近のリールの多くはキャスト時にレベルワインダーが動かない設計なので、ここの抵抗が飛距離に効く場面はほとんどありません。同じ「レベルワインダー両端」でも、リールの構造次第で意味がまったく変わるわけです。

ただし、海水で使うなら防錆の問題は変わらず残ります。アンバサダー系をソルトで使うなら、ベアリング化するにしても防錆タイプを選んで、メンテ頻度を上げるのが前提になります。

アブガルシア アンバサダー1600Cの外観
アンバサダー1600C。キャスト中もレベルワインダーが左右に走るタイプで、ウォームシャフトの抵抗が飛距離に直結する

ハンドルノブへの追加は「アリ」

一方、ハンドルノブは話が別です。

ここは分解清掃がしやすく、海水を浴びてもこまめにメンテできる箇所。なので、ベアリング追加によるメリット(巻き出しの軽さなど)を素直に享受しやすい部分だと感じています。

海水で使うリールをいじるなら、まずはハンドルノブから、というのが自分の考えです。

リール内部に入れるなら防錆ベアリング一択

リール内部にベアリングを追加する場合は、通常のステンレスベアリングではなく、純正採用例もある防錆ベアリングを選ぶべきというのが自分の考えです。

理由はシンプルで、サビて固着してしまうと、最悪の場合リールを壊さないと分解できなくなる可能性があるから。実際、修理記録を見ても「ベアリングが崩壊して金属の核部を取るのが大変」といったケースが出てきます。

追加コストが少し上がっても、防錆性能は妥協しない方が安全です。シマノならS A-RB、ダイワならCRBB、社外品でも防錆タイプが用意されているので、必ずそちらを選びましょう。

分解したベイトリールのパーツをトレーに並べた様子
分解して並べたパーツ。ベアリングがサビて固着すると、この状態まで持っていくこと自体が難しくなる

そもそも現行リールは標準で巻き心地が良い

そして、これが一番大事な話かもしれません。

最近発売されているリールは、無加工でも十分に巻き心地が良く、ベアリング追加をしてもしなくても使用感の差はそれほど感じません。マイクロモジュールギアやインフィニティドライブのように、ベアリング以外の部分で巻き心地を作り込んでいるからです。

極端に言えば、ベアリング追加はほぼ自己満の世界です(笑)。

まとめ:追加するなら場所と材質を選ぼう

海水でリールを使うなら、ベアリング追加はこう考えるのがいいと思います。

  • レベルワインダー両端:標準仕様は機種によって違う。むやみに追加せず、まず自分のリールがブッシュかベアリングかを確認する
  • ブッシュ仕様の機種:メーカーがトラブル回避のために選んでいる可能性が高いので、ベアリング化は避けるのが無難。こだわるなら匠ブッシュのような高性能ブッシュを
  • キャスト時にレベルワインダーが動くリール:アンバサダー系のような連動タイプは例外的にベアリング化が効く。ただし海水で使うなら防錆タイプ必須
  • ハンドルノブ:分解清掃しやすいので追加OK
  • リール内部:追加するなら防錆ベアリング一択
  • 現行機種:そもそも標準で巻き心地が良いので、ベアリング追加は「性能アップ」より「趣味の世界」と割り切る

淡水しかやっていなかった頃の自分に言うなら、「海に出るなら、まずメーカーがなぜその仕様にしたのかを考えてみろ」といったところでしょうか。

ベアリング追加そのものを否定する気はまったくありません。自分でリールをいじる楽しさは何物にも代えがたいですからね。ただ、その一手がリールの寿命を縮めていないかだけは、海水で使うなら一度立ち止まって考えてみる価値があると思います。

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