はじめに
先日、地元の釣具屋の中古品コーナーで「18紅牙TWハイパーカスタム 8.6R」を見つけて購入しました。まだ実際に使ってはいないのですが、もう新品では手に入りにくい旧モデルということもあり、今回は使用感ではなく「どんなリールなのか」を紹介する形でまとめてみます。実釣レビューは、実際にフィールドで使ってからあらためて書く予定です。

紅牙TWハイパーカスタムとは
紅牙TWハイパーカスタムは、ダイワのタイラバ専用ベイトリール「紅牙TW」シリーズの上位モデルとして登場したリールです。前年にリリースされた「STEEZ A TW」をベースに開発されており、カウンターは付いていないタイプで、操作性や感度、軽さを重視した通常の紅牙TWに対し、ハイパーカスタムは剛性と巻き心地をさらに追求したモデルという位置づけになっています。
ベース機であるSTEEZ A TWでブレーキ調整ダイヤルがあった位置は、紅牙TWハイパーカスタムではライン号数表示ダイヤルとして使われています。タイラバではベイトフィネスのような遠心・マグネットブレーキ調整は不要なため機構自体は省かれていますが、ダイヤルという構造そのものは無駄にせず転用している、合理的な設計です。

実際にサイドプレートを開けてみると、スプールまわりにキャスト用のブレーキユニットが一切入っていないことが分かります。マグネットブレーキのプレートも遠心ブレーキのブロックもなく、完全に取り払われた状態です。なお、スプール軸を押さえるメカニカルブレーキはハンドル側のキャップにきちんと備わっているので、スプールのガタ調整はできます。ここまで割り切っているからこそ、キャスト時にスプールの回転を妨げるものがなくフォールが速い一方で、飛距離を出す場面ではブレーキ調整という逃げ道がない、という性格になっています。

ボディの一部にZAION(樹脂系素材)ではなく金属素材(スーパーメタルハウジング)を採用しており、ロープロファイル形状のままでも高い剛性を実現しているのが特徴です。そのぶん自重は通常の紅牙TWより20gほど重くなっていますが、巻きの安定感や感度の高さにつながっているとされています。
なぜこのモデルを探していたか
現行の紅牙シリーズはICカウンター搭載モデルが主流で、カウンターなしのモデルは長らく手薄でした(2026年7月に「26紅牙TW 80」が登場していますが、こちらはギア比5.5と6.3のみで、8.6のようなハイギアは設定がありません)。カウンターなしのシンプルな操作感と、剛性重視の作り込み、そしてハイギアという組み合わせが気に入って、中古市場でずっと探していたモデルでした。
入手の経緯
購入したのは地元の釣具屋の中古品コーナーで、価格は25,000円でした。旧モデルで流通量も少ないため、状態の良い個体になかなか出会えなかったのですが、今回は見た目もきれいな個体だったので即決しました。
スペック|ハイギアとローギアの2タイプ

紅牙TWハイパーカスタムは、高速巻きのハイギア「8.6」と、楽巻きのローギア「4.9」という2つのコンセプトでラインナップされていました。それぞれに右ハンドルと左ハンドルが用意されていて、8.6R・8.6L・4.9R-RM・4.9L-RMの計4機種構成です。私が手に入れたのはハイギア右ハンドルの8.6Rになります。
| 項目 | 8.6R/8.6L(ハイギア) | 4.9R-RM/4.9L-RM(ローギア) |
|---|---|---|
| ギア比 | 8.6 | 4.9 |
| 巻取り長さ(ハンドル1回転) | 91cm | 52cm |
| 自重 | 205g | 205g |
| 最大ドラグ力 | 5kg | 6kg |
| PE糸巻量 | 1.0号-300m/1.5号-180m | 1.0号-300m/1.5号-180m |
| ハンドル長 | 100mm | 100mm |
| ベアリング(ボール/ローラー) | 12/1 | 12/1 |
| ハンドル | R=右/L=左 | R=右/L=左 |
| 発売年 | 2018年 | 2018年 |
自重・糸巻量・ベアリング数は共通で、違いはギア比と最大ドラグ力だけ。同じボディで「巻きの速さ」だけを選べるようになっているのが分かります。ベアリングは12+1の合計13個で、紅牙シリーズのフラッグシップと呼ばれた作り込みです。
8.6は、ゆっくり巻いても情報量を多く拾えるため、ネクタイの端を噛んだような小さな前アタリも感じ取りやすいタイプとされています。一方の4.9は「楽巻き」と名付けられているとおり、安定してゆっくり巻き続けられるのが持ち味で、長時間の釣りでは体力的にかなり楽になります。ハイギアをゆっくり巻くのは集中力が要るので、狙いどころで感度を取るか、一日通しての巻きやすさを取るか、という選び方になりそうです。
ベアリングにはダイワの防水・耐久テクノロジー「マグシールドボールベアリング」が採用されており、塩ガミや錆びによる回転性能の劣化を抑え、初期性能を長く維持できるのも特徴です。発売当時の価格は5万円台からと、ハイエンドなリールでした。
使っている方の声から分かること
まだ実釣していないので、ここは他のユーザーの方のブログなどで見かけた情報になりますが、このリールにはキャストを制御するブレーキ(マグネット・遠心)がなく、調整できるのはメカニカルブレーキだけなので、扱いには注意が必要という声がいくつかありました。一方で、スプール交換が船上でも15秒ほどでできるくらい簡単で、フォールスピードが速いという利点も紹介されていました。実際に使い始めたら、この辺りの感覚もあらためて確認してみたいと思います。
現行「紅牙」シリーズとの違い
現行の紅牙ベイトはICカウンター搭載の「紅牙IC」「紅牙RX IC」が中心で、巻き上げ速度や落下速度を数値で管理できるなど、機能面での進化が進んでいます。そしてカウンターなしの系譜としては、2026年7月に「26紅牙TW 80」が登場しました。TWハイパーカスタムが気になっている人にとっては、いちばんの比較対象になるモデルだと思います。
26紅牙TW 80もハイパーアームドハウジング(AL)でフレームとギア側サイドプレートに金属素材を使っていて、TWSも搭載。「カウンターなし・金属ボディ・TWS」という骨格は、しっかり受け継がれています。
| 項目 | 18紅牙TWハイパーカスタム 8.6R | 26紅牙TW 80(現行) |
|---|---|---|
| カウンター | なし | なし |
| ギア比 | 8.6 | 5.5(80P/80PL)/6.3(80/80L) |
| 巻取り長さ | 91cm | 54cm/62cm |
| 自重 | 205g | 195g |
| 最大ドラグ力 | 5kg | 5kg |
| PE糸巻量 | 1.0号-300m | 0.6号-400m/0.8号-300m |
| キャストブレーキ | なし(メカニカルブレーキのみ) | マグフォース |
| TWS | 搭載 | 搭載 |
| ハンドル長 | 100mm | 110mm |
| ベアリング | 12/1 | 7/1 |
| メーカー希望本体価格 | 5万円台〜 | 45,400円(税抜) |
こうして並べると、性格はかなり違います。26紅牙TW 80はシャローやバーチカルを想定した小径スプールのコンパクト機で、ギア比も5.5と6.3。軽量ヘッドの落下スピードを落とさないことを狙った設計です。対してハイパーカスタムの8.6は、とにかく巻きの速さと感度に振ったモデル。同じ「カウンターなしの紅牙TW」でも、現行機に8.6相当のハイギアはありません。
もう一つ、はっきり違うのがブレーキです。26紅牙TW 80にはマグフォースブレーキが載っていて、潮や風がない状況でもアンダーキャストで広く探れるようになっています。一方のハイパーカスタムにあるのはスプール軸を押さえるメカニカルブレーキだけで、キャストを制御するブレーキは持っていません。フォールの速さという点では有利ですが、キャストのしやすさでは現行機に分があるということになります。
なお、カウンター付きの紅牙IC 150はTWSではなく通常のレベルワインドで、ブレーキは遠心式です。「TWSが欲しいならTW 80系、カウンターが欲しいならIC系」という住み分けになっているようです。

TWS搭載はタイラバで何が変わるのか
TWS自体は、私はアルファスSV TWで使い慣れています。サミングしているときのラインの出ていく軽さ、指に伝わる抵抗の少なさは、通常のレベルワインドのリールと比べるとはっきり違いが分かります。TWSはバス用ベイトリールの「飛距離が伸びる機構」として語られることが多いのですが、タイラバに載せた場合は、飛ばすことより落とすことに効く機構だと考えています。以下は、アルファスSV TWで感じているラインの出方の軽さが、タイラバではどこに効いてくるかを整理したものです。
フォールスピードが落ちにくい
通常のレベルワインドは、フリーにしたときもラインが狭いガイド穴を通ります。とくにスプールの端から出ていくラインは横方向に折れ曲がって通るぶん、抵抗が生まれます。TWSはフリー時にT字の広い上側を通るので、この摩擦と屈曲が減ります。タイラバは落とし込みが釣りの半分を占めるので、ここは地味に効いてくるはずです。とくに45〜60gの軽いヘッドや浅い場所では、わずかな抵抗の差が落下姿勢や着底の速さに出ます。
ドテラ流しでラインが素直に出続ける
いちばん大きいのはここだと思っています。ドテラ流しでは船が流れてラインが斜めに出ていくので、レベルワインドとラインの角度が浅くなり、擦れる量が増えます。その結果「途中でラインの出が渋ってヘッドが浮いてしまう」ということが起きる。TWSは角度がついた状態での抵抗が少ないので、斜めにラインが出ていく場面でもヘッドが落ち続けてくれるはずです。ボートからのタイラバでは、恩恵を受ける場面が多そうだと感じています。
フォール中のアタリが分かりやすい
ラインがガイドに擦れていると、その摩擦がノイズになってフォール中の小さな変化が鈍ります。接触が減れば、そのぶん手元に届く情報は増える方向です。タイラバはフォールで食ってくることが多い釣りなので、この差はそのままアタリの取りやすさに直結するはずです。
細いPEが傷みにくい
1.0号前後のPEを一日中出し入れする釣りなので、摩擦が減れば劣化も遅くなります。ラインは消耗品とはいえ、巻き替えの間隔が延びるのはありがたいところです。
ブレーキレスとセットで意味がある
このリールはキャストブレーキを完全に取り払って、フォールに全振りした設計です。ただ、スプール側の回転抵抗を消しても、ライン放出側で擦れていたら効果は半減してしまいます。「ブレーキレス+TWS」で初めて狙いが成立する組み合わせで、TWSはその片翼にあたる、という理解をしています。現行の26紅牙TW 80がTWSを引き継いでいるのも、タイラバでの価値が認められている証拠だと思います。
TWSそのものの構造や、淡水のベイトリールでどう効くのかについては、21ジリオンSV TW 1000Pレビューのほうで解説しています。あわせて読むと、同じ機構がソルトとバスでどう役割を変えているのかが分かりやすいと思います。
見た目・質感のファーストインプレッション
今回手に入れた個体は、派手なピンクとブラックの組み合わせのカラーで、かなり目立つ見た目です。女性アングラーにも似合いそうな配色ですし、船上で自分のタックルが一目でわかるのも地味に便利かもしれません。中古とはいえ状態は良く、金属パーツならではのしっかりとした質感が伝わってきます。

ハンドルはLIVREのクランク110とフィーノプラスノブの組み合わせに交換しています。ただし、STEEZ A TWベースのリールということもあり、ハンドルの固定が一般的なナット式ではなくボルト式になっている点は要注意です。同じようにハンドル交換を考えている方は、対応するボルトやパーツ選びで戸惑わないよう事前に確認しておくのがおすすめです。

まとめ
今回は実釣前の紹介という形で、18紅牙TWハイパーカスタム 8.6Rのスペックや位置づけをまとめました。ハイギアの8.6とローギアの4.9という2つのコンセプトがあり、私が選んだのは感度重視のハイギア。派手なカラーリングの掘り出し物ということもあり、実際に使うのが楽しみな一台です。フィールドで使い込んだら、あらためて実釣レビューとして追記したいと思います。
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